atomit's scrapnote

中世では、テキストの注解は「光沢=グロス」と呼ばれたそうです。テキストの内側から光を照らし出させるという意味だといいます。
光を当てるのではなく、光を内側から透過させる。まさに照明で建物を照らすのではなく、ステンドグラスにより建物そのものの内側から光を照らし出させるようなゴシック建築の技術に通じます。

中世の人びとは、聖なる光はこちらから見るのではなく、あちらから浴びるのだと信じていました。こちらからとにかく闇に光を当てようとした啓蒙の時代とはまるで逆です。

“ジークフリート・ギーディオンが『機械化の文化史』のなかで指摘しているように、中世の部屋にはほとんど家具というものが置かれていなかったのである。グーテンベルク以後、視覚があらたに強調されたために、すべてのもののうえに光を要求することとなった。また新しく生まれた時間と空間の観念は、時間と空間を事物や活動によって満たされるべき容器と見なしはじめたのである。だが、視覚が触覚と密接な関係にあった写本時代には、空間は視覚的容器ではなかった。”
マーシャル・マクルーハン『グーテンベルクの銀河系―活字人間の形成』

みずから光輝いた中世的空間で人はそのやわらかな光にやわらかく包まれていたのでしょう。そのとき、光は単に視覚的なものではなく触覚的なものでもありました。

  1. konzent reblogged this from tomoleoht
  2. tomoleoht reblogged this from atomit
  3. atomit posted this